湘南鎌倉総合病院・MEA手技ミスによる子宮摘出
横浜地裁は2026年4月15日、医療法人徳洲会に対し、慰謝料等約1600万円の支払いを命じる判決を下しました。
事案は2016年にさかのぼります。当時47歳の女性が、湘南鎌倉総合病院で子宮頸管再狭窄等の治療としてMEA(マイクロ波子宮内膜アブレーション)を受けた際、医師がマイクロ波を本来の照射部位である子宮内ではなく子宮外で照射したため、腸や尿管に損傷が生じました。女性はその後、尿路感染症を発症し、最終的に子宮と卵巣の摘出を余儀なくされています。
女性は徳洲会に対して約4600万円の損害賠償を請求していましたが、認容額は約1600万円でした。
MEAは、過多月経などの治療としてマイクロ波で子宮内膜を焼灼する手技です。子宮腔内にアプリケータを挿入して照射するため、アプリケータの位置確認が安全上の生命線になります。
横浜地裁は、本来子宮内で照射すべきマイクロ波を子宮外で照射したことを注意義務違反と認定しました。照射位置の誤りという、手技の基本に関わる過誤であり、過失認定は当然の結論といえます。
子宮・卵巣の摘出は、後遺障害として等級認定の対象になり得ます。しかし、子宮摘出に伴う損害の算定は、交通事故の後遺障害等級表のように定型的に処理しにくい面があります。特に閉経前の女性における子宮・卵巣摘出は、身体的な影響だけでなく、精神的なダメージも極めて大きいものですが、慰謝料の算定においてその苦痛が十分に評価されているかは、常に疑問が残るところです。
原告の女性が判決後に「もう女の子じゃなくなる気分しかなかった」と述べたその言葉は、金銭評価の難しさを端的に物語っています。
手技の基本的な誤りで子宮を失うという結果は、あってはならないことです。判決が出たこと自体は一つの区切りですが、失われた子宮は戻ってきません。医療事故後の病院の対応のあり方を改めて考えさせられる事案です。