解決タイムライン

MRIによる聴覚障害事案において約700万円で訴訟上の和解成立

医療機関において画像検査に用いられるMRIは、稼働時に磁力と振動による騒音を発生させます。
その音量は100dB以上(電車の高架下や大規模な工事現場の騒音に匹敵する程度)にも達することがあるとされており、検査時には耳栓などの防音ヘッドフォンなどによって騒音を軽減するための対策を講じるのが一般的です。

本件は、70代の患者がMRI検査を受けた際、検査担当者が耳栓を交付するのを失念していたため、患者が検査中MRIの騒音に無防備にさらされたために、検査後、音響外傷による聴覚障害を負ったという事案です。
医療機関側は、MRI検査時に防音措置を講じることは医療機関側の義務とまでは言えないとして注意義務違反を否定したため、訴訟により解決を図ることとなりました。

訴訟においては、MRI検査機器の添付文書(製薬会社や医療機器メーカーが発行する、医薬品や医療機器の情報を記載した文書)や取扱説明書に、耳栓等の防音措置についての記載があること等を根拠に、医療機関側の注意義務違反を主張しました。
また、聴覚障害との因果関係を争われたため、強大音によって聴覚器官に不可逆的な損傷が生じる医学的機序や、患者が検査直後から聴覚の異常を訴え、その後の検査でも聴覚の低下が確認されているという本件の経緯などを主張しました。
医療機関側からは、患者が高齢であるために聴力が低下しているという主張もなされましたが、高齢者の聴力には個人差が大きく聴覚の異常を感じていない場合にはさほど低下していないと考えられること、患者の聴力検査の結果が、一般的な加齢に伴う聴力の低下とは異なる特徴を示していることなどを指摘して反論しました。

その結果、裁判所からの当方の請求を認容する方向での和解案が提示され、和解成立に至りました。

本件を受任した当初は、医療機関側が責任を認めて示談に至ることを予想していましたが、予想に反して医療機関側が責任を否定したため提訴せざるを得ませんでした。
負けてはならない事案と考えていましたが、先例がないという点で主張立証に創意工夫が求められた事案でした。

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