解決タイムライン

京都地裁において勝訴判決を得ました(労災取消訴訟)

令和7年4月22日に、弁護士齋藤健太郎が担当した京都地裁の事件で勝訴判決が出ました。

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帯状疱疹(ほうしん)にかかった上司からウイルスをうつされたことで水痘(水ぼうそう)や別の病気を発症したとして労災保険の給付を求めた30代女性が、労災認定をしなかった京都下労働基準監督署の処分を不服として国に処分取り消しを求めた行政訴訟で、京都地裁(植田智彦裁判長)は22日、業務と病気との関連があったとする女性側の訴えを認め、取り消しを命じた。

 判決によると、女性は京都府内の金融機関に勤務していた2018年6~7月ごろ、帯状疱疹を発症した上司と約2メートル離れた席で書類や決裁のやりとりをし、自身も水痘を発症した。さらに意識障害が出て、てんかんと、過度の眠気が出る「ナルコレプシー」の診断を受けた。

 水痘と帯状疱疹は同じウイルスにより引き起こされる。女性側は、ウイルス感染に起因する髄膜炎を発症したことで、さらにてんかんなどを発症したと主張。国側は、てんかんなどは業務に起因しないとして、保険の不支給は妥当だと反論していた。

 植田裁判長は判決理由で、医師らの意見を踏まえ「市中感染の可能性は低く、業務中に感染した」と判断。感染以前はてんかんやナルコレプシーの症状がなかったことなどから、水痘に起因する髄膜炎が原因と認定し、「不支給の処分は違法」とした。

 原告代理人の齋藤健太郎弁護士は「ウイルス感染での労災認定を争った判例は少なく、さまざまな事実から感染や発症を認定したことは意義がある」と話した。京都労働局は「今後の対応は関係機関と協議する」としている。
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帯状疱疹は空気感染しないというのは誤解で、特に三叉神経に発症した場合には感染力が強いとされています。
上司は、顔面に痂皮化していないジュクジュクとした水疱を覆うこともしておらず、また、女性は上司の席に直接行って書類を手渡しするというルールでした。

この事件は労災の処分を争う取消訴訟というもので、国を相手とする裁判になります。
通常の医療事件とは異なりますが、医療知識の正確な理解、幅広い文献の調査、主治医とのコミュニケーションや医師意見書作成など医療事故に精通している弁護士のスキルが活かされた事件であると思います。

まだ控訴される可能性はありますが、ひとまずは大変な目に遭われた女性の方に希望の光が刺したことを嬉しく思います。

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