内視鏡検査の説明義務違反・約6300万円の判決
胆管の内視鏡検査前の説明義務違反を認め、合計約6300万円の支払いを命じた判決についてのニュースがありました。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20250719-OYT1T50018/
死亡のリスクを十分説明せずに胆管の内視鏡検査を実施し、当時72歳の女性を死亡させたなどとして、遺族5人が運営法人と担当医に計約2億2000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は「検査の危険性について説明を尽くす義務に違反した」として計約6300万円の支払いを命じました。
訴訟で教授側は「死亡するリスクは事前に説明していた」と主張したが、判決は教授と女性の面会時の録音記録などを基に、そうした説明はなかったと認定。教授が「検査は胃カメラのようなもの」と発言して女性や家族に検査の危険性を誤って理解させたとした上で、「リスクが適切に説明されていれば女性は検査を見送り、死亡という結果も招かなかった」と医院側の責任を認めました。
問題の検査を巡っては、国の医療事故調査制度に基づく指定機関「医療事故調査・支援センター」が昨年7月、「適切とは言い難い」とする報告書を同院と遺族に提示していました。
医師による説明が不十分だったことにより、患者が自身が受ける医療行為について十分に理解したうえで選択することができなかった場合、患者や遺族は医療機関に対して損害賠償請求をすることが可能です。
通常は本件ほど高額の請求が認められることはあまりありませんが、本件では、適切な説明がなされていれば検査を受けることがなかった(=死亡することもなかった)と説明義務違反と死亡との因果関係が認定されており、それが高額の判決につながりました。
記事からは明確ではありませんが、本件では内視鏡的逆行性胆膵管造影法(ERCP)というX線検査などを組み合わせた検査が行われたと考えられます。ERCPは侵襲性があり、膵炎などの合併症のリスクが比較的高いと言われており、リスクの説明は必須といえます。
また、医療事故調査制度が利用され、医療機関側の過失を肯定する結論を出したことも、裁判の結果に影響を与えたかもしれません。