解決:区切りを付けて前を向くということ
裁判はとても後ろ向きなものです。
失われたものが戻ることはありません。
医療事故等で失われた命は戻って来ません。重い後遺障害は簡単に回復することはありません。だからこそ裁判になるともいえます。
我々弁護士の仕事は、裁判で解決し、賠償金を得るということですが、それが果たして救いになっているのかと自問自答することもあります。
本日、訴訟前の示談をした医療事故の案件で、遺族の方々が事務所にお越しになりました。
部屋に入った瞬間、お一人がティッシュを持って顔を覆っているではありませんか。
それを見て、隣のもう一人の方も顔を覆っています。
そんなに悲しいのかと思って驚いたのですが…
よく見るとお二人とも爆笑していました。
その日は異様に暑かったので、汗が止まらないということで焦っていたところ、私が入室したので間に合わずに笑ってしまったようです。
私はお二人の笑顔をその日初めて見ました。
解決することが区切りをつけて前を向く力になっているのであれば、後ろ向きな仕事も少しは救いになっているのかもしれないと思いました。